2023年度 公益社団法人 春日井青年会議所第55代理事長、木野瀬 翔伍より所信表明です。

<はじめに>
JCができることは何か?「明るい豊かな社会の実現」という創始から掲げられたこの想い。時代の変遷によってこの明るい豊かな社会は変化しています。新型コロナウイルスの流行という未曾有の危機は、必要だと感じていたものがそこまで重要ではないと気付かされた機会でもありますが、当たり前にできていたことの尊さを学べた機会でもありました。個の価値観が尊重され、誰一人取り残さないというキーワードが少しずつ社会に浸透していく中で、JCがすべきことも見つめ直す必要があります。
JCという団体は、一人ひとりが今まで経験したことのないことに、仲間と共に挑戦する機会を提供してくれます。そしてその挑戦する内容は、まちや市民、そして所属するメンバーのためになっているのかが前提となっており、それこそが春日井JCが55年という歴史を紡いでこられた所以です。この挑戦することや自分自身ではない他のために動くことは不変のものであり、残し続けていかなければならない精神です。しかし、市民はもちろん、所属するメンバーも多様化してきており、JCにおけるルールや考え方は常に見直さなければならなくなっています。
そして、誰もが活躍できる社会を実現するためには、まちに住まう一人ひとりがそれぞれの個性を認め尊重し合うことで、多様性を受け入れることのできるまちへと発展させる必要があります。55周年という節目を迎えることができたこの歴史と伝統を大事にしつつ、若者らしくまちを変えることができるという気概を持って、挑戦をしていきましょう。
また、社会というワードはまちや市民をイメージしがちですが、忘れてはならないのは我々JCメンバーも社会の一員であるということです。明るい豊かな社会に対してメンバーも一緒になって、共に成長していかなければなりません。JCは社会のために行動することで大きく成長できる場です。一人ひとりがその意識を持って、自分たちの起こす運動に間違いがないという誇りと自信を持って行動していきましょう。
<55周年という節目に>
55年という歴史を紡いできた春日井JCは、春日井市を始め様々な団体、学校、企業の協力のもと、人やまちのために運動を起こしてきました。また、その運動の原動力は、先輩諸兄を始めメンバー一人ひとりがまちや人のために注ぎ続けてきた愛です。そして、この55周年というタイミングは、新たな春日井JCへと進化するためのきっかけとなる年です。春日井JCがこの先も持続可能な団体として進化していくために、様々な団体の共感を呼び、より一層の愛を持って運動を起こすことで、他団体から共に事業をやりたいと頼られる存在になる必要があります。この節目となる年に改めて市や様々な他団体との絆を育み、同志として巻き込みながら市民のまちに対する愛着と、メンバーの春日井JCに対する帰属意識が高まる運動を起こし、愛と絆を感じられる新たな春日井JCの歴史を創っていきましょう。
<まちの未来をつくるビジョンと運動発信を>
まちの未来を創るのは誰か?それはそこに住まう人です。春日井市は住みやすいまちとして市民からも認知されていますが、価値観の多様化や個人主義によるコミュニティの減少、超高齢化社会などの問題を抱えている現状があります。そういった様々な社会課題を少しでも解決し、誰一人取り残さない社会を創っていくためには、向かうべき方向性を示す明確なビジョンと、人と人とがつながることによって未来に希望を持てる運動を起こしていく必要があります。
ビジョンとは将来のあるべき姿であり、私たちが目指す明るい豊かな社会を実現するための指標となるものです。JCは単年度制のため、年毎の短期的なビジョンは作られていますが、運動の効果を高めていくためには、その短期ビジョンが中期ビジョン・長期ビジョンに基づいた一定の方向性に向かうものである必要があります。また、今後掲げる方針や実施する事業がこれから創り上げるビジョンに沿っているかを常に検証していく必要があります。JCのあるべき姿、まちのあるべき姿を全メンバーと共有し、一丸となった運動発信をするためにも、我々のステークホルダーであるまちや市民の方々の考えを聴きながら、この先の5年、10年先へのビジョンを創っていきましょう。
また、JCがまちに必要な団体であり続けるためには、まちに住まう人々が未来に希望を持つことのできる運動を起こしていく必要があります。近年、新型コロナウイルスの蔓延により、祭りや町内会などでの地域とのつながりが少なくなり、それが当たり前になりつつあります。そういった催しが煩わしいと感じる人もいますが、それらは本当に不要なものばかりなのでしょうか?人は体験しないとわからないことが多くあります。煩わしいと感じていたことが人とのつながりの中では大事なこともあります。身近な人と共に、まちに対して希望と愛着を持つことのできる運動を起こしていきましょう。
<実行力のある強い組織を目指して>
組織を拡大していくこと、情報発信力を高めることは、市民への運動の効果を今より高めるためには必要不可欠です。しかしそれらの手法は、刻一刻と変化する人の価値観や最先端の技術、流行などにより常に進化しています。そういった中で実行力のある強い組織を実現するためには、人の思考や世の中の流れを理解し柔軟に対応していくこと、そして人のためにという想いを持ち、心を掴むための運動を起こしていく必要があります。
春日井JCの拡大活動は毎年多くの仲間を入会に導いています。その原動力は、委員長を始めとするメンバーそれぞれの熱意と行動力の高さと、春日井JCとして必ず成功させるという文化です。そしてメンバー同士が強い絆で結ばれ、まちや市民のためにより一丸となって活動していくためには、どんな仲間に入ってほしいか、どのように活躍してほしいかという目的意識を持った拡大活動が必要です。そのためには、拡大活動をなぜやるのかを再認識し、まちを変えられるという変革意識を持った多種多様なメンバーで溢れる組織にしていかなければなりません。春日井JCに所属する人財を巻き込みながら拡大活動を行うために、拡大活動の目的を明確化し、春日井JCの魅力を率先して伝え、自信を持って活動できるメンバーを育成していきましょう。
また、JCの事業は魅力があるものであってもなかなか市民のもとに伝わらず、運動発信を最大限に活かせていないことがあります。昨今は、You TubeやInstagramに代表されるようなSNSによる広報が主流になりつつあるため、刹那的に情報が流れていきます。そういった中で重要になるのが、チャンネル登録やフォロワーの獲得など、継続的に情報を取得してもらいやすくすることです。様々な媒体がある中でそれぞれの良さを活かした広報を推進していくと共に、今この瞬間だけの広報に目を向けるだけでなく、発信力をより強固にするための未来を見据えた継続的な取り組みをしていきましょう。そして、受け取る人の気持ちに寄り添いながら、自信を持って自分たちの事業を発信することで、JCがどんな団体で何を目的に事業を実施しているのかという根幹を伝え、ファンづくりにつながる広報活動をしていきましょう。
<ダイバーシティとSDGsの推進>
日本には、人口減少や少子高齢化、労働者不足など様々な社会課題があります。現実的な未来の予測として、人口は2060年に約8,600万人にまで減少すると見込まれています。このような時代の変化は誰も経験したことがなく、過去に倣ったことをしていくだけでは、生きていく力を身に付けることはできません。その力を身に付けるためには、機械やAIではできない人の個性や心を理解し、多様性を受け入れながら個々に寄り添った行動をすること、そして社会の現状と課題を理解し、課題解決に向けて行動することで人から必要とされる存在になることが必要です。
過去を学ぶことは、今を知り未来を予測するためにも重要です。しかし、過去の成功事例を盲目的に信じ、それに倣うだけではこれから起こる時代の変化に対応できません。人口減少、AIなどに代表される技術革新など、私たちを取り巻く社会情勢は大きく変化しており、人の価値観も所有することに価値のあった”モノ”の時代から、所有では得られない体験や経験に価値を見出す”コト”の時代に変化してきています。その変化に対応するためには、多数派を偏重するのではなく、一人ひとりが違うことを認め合い、様々な人の心を理解し、豊かな創造性を生むことが必要です。一つの価値観に縛られるのではなく、多様な価値観を受け入れながら他者と協力することで、創造性豊かな人を創っていきましょう。
また、世界中の社会課題を解決するための目標として定められたSDGs。その中で重要なのは、様々な課題に対して国レベルではなく個人レベルで取り組み、結果として大きな変化につながるように行動していくことです。そのためにまずは、SDGsの指標の中での自分たちの立ち位置と、一人ひとりが取り組める身近な課題を理解し、他者や社会を考え未来を変えるために行動を起こすことが必要です。SDGsの掲げる誰一人取り残さない社会を実現するためにも、様々な人たちが交流できる事業を創り、未来を考え行動できる人を創っていきましょう。
<柔軟な組織運営と経済人としても自立したメンバーを目指して>
昨今のコロナ禍でリモートワークやWEB会議など働き方が見直され、JCでの会議や事業内容も様々な手法が取り入れられるようになりました。また、私たちは明るい豊かな社会を目指して日々活動していますが、その前に青年経済人として活動しています。そういった中でトレンドや求められる在り方に対してアンテナを高く張っておくこと、そして自立した青年経済人であるために学び続けることが重要であり、それらはメンバーが春日井JCに所属する意義にもつながります。JCという場で社会に対応した組織運営を学ぶと共に、青年経済人としても成長し、まちの人からも尊敬されるような組織にしていく必要があります。
JCは会議体として秩序を持った運営が求められます。そのためには、組織のルールを理解しそれに則った運営をしていく必要がありますが、効率的な運動構築をしていくためには、メンバーに寄り添った運営も同時に求められます。JCには歴史に裏打ちされた様々なルールがありますが、それらを守ることを目的とせず、メンバーのためにどうあるべきかを常に考え行動に移していくことが組織としての成長につながります。今あるものがなぜあるのかを理解すると共に、新しい手法も取り入れながら、未来につながる新たな組織創りをしていきましょう。
また、春日井JCは公益社団法人として2015年から法人格を変更して活動してきたことにより、まちや市民のための運動を充実させてきました。しかしその反面、メンバー向けの事業は少なくなってきた現状があります。メンバーが青年経済人としても成長していくことは、春日井JCに所属することで個人のスキルアップもできるという新たなメリットにもつながります。私たちが今よりまちのため市民のための運動発信力を強めていくために、研鑽を積める事業を創っていきましょう。そして、青年経済人としても成長すると共に、他者からも認めていただける団体になっていきましょう。
<学び舎であるJCの活用>
JCはよく学び舎だと言われます。そう言われる所以の一つに春日井JCの枠を超えた、愛知ブロック協議会、東海地区協議会、日本青年会議所、国際青年会議所への出向での経験やそれらで実施される規模の大きな事業があります。私自身も出向や様々な大会でのフォーラムに参加したことで、貴重な経験や様々な人との出会いがありました。青年経済人としても活躍するメンバーにとって時間は非常に貴重ではありますが、少しでもそういった機会に触れ体感する時間をつくることで間違いなく成長できますし、JCの魅力を感じることができます。春日井JCが実行力のある組織に成長するためにも、出向メンバーの活動を支援すると共に、メンバーがその機会に触れられる場の提供を積極的にしていきましょう。
<最後に>
40歳までという限られた期間しか活動できないJCというフィールドは、非常に貴重であり、私はメンバーとして活動できることに誇りを感じます。その想いは年々強くなっていますが、なぜそうなったかを考えると単年度制の中で一年一年、様々なことに挑戦してきたからだと思います。そして何より活動を通じて出会った仲間と利害関係を超えた関係づくりができたからです。
JCの三信条に修練・奉仕・友情とありますが、奉仕をするためには修練や友情が必要不可欠であることを、活動を通じて体感することができました。特に仲間との友情は、あらゆる困難を乗り越えるための大きな力であり、JCでの活動を通じて得られる最大の財産です。これらの財産を得るためにはどうすべきか、それはひとえに誰かのためにという想いを持って行動することに尽きます。家庭での環境、会社での環境など私たちが活動するこの40歳までという期間は、様々なターニングポイントがあり大きく変化するタイミングです。そういった中でこのJCという場で出会った仲間と共に人やまちのために行動していくことは、必ず自身を成長させ、人生の大きな助けになります。
JCを信じ、まず行動する、そして仲間と共に活動することで、JCに入会して良かった、運動を通じて様々な経験ができて良かったと必ず感じることができます。私の願いは、メンバー一人ひとりがJCに所属していることに対して誇りと自信を持つこと、そして全ての人が自分の身近な人の想いを大事にし、お互いを尊重し合うことで、誰かのために行動できる人たちで溢れるまちになることです。仲間と共に行動し、かけがえのないこの時間を活かしながら、新しい春日井JCの歴史を創っていきましょう。