所信

2021年度 公益社団法人 春日井青年会議所理事長、泰丘良玄より所信表明です。


(公社)春日井青年会議所2020年度 第53代理事長 泰丘良玄

「己を見つめ、JCを信じる」

(はじめに)祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。どんなに栄華を極めた組織も諸行が無常なることに抗っては継続できず、個人も驕り高ぶれば長く続かず春の夢のようであると『平家物語』は伝えます。古来より無常と共に生きてきた日本においては、先人たちはそれを肝に銘じていたことでしょう。昨年に始まる新型コロナウイルスとの共存と国難は、私たち人間や組織の在り方に対して、まさにその無常の世界で生きねばならない摂理を強烈に示してくれました。

青年会議所は単年度制を取り、全役員の交代により新陳代謝を繰り返してきました。春日井青年会議所が春日井の地に生まれて53年目を迎え、先輩諸兄の底知れぬ英知と弛まぬ勇気と熱い情熱の下で、春日井JCはまちやそこに住まう人々に対して、力強い運動を展開してきました。同時にそれは、私たちの活動に参加していただいた市民の皆様、応援していただいた多くの団体、そして身近で支えてくれている家族の「おかげさまの心」によって成り立っています。そのため、私たちはそれを常に認識し、自らを律していくことは忘れてはなりません。

それを踏まえて、超高度情報化社会における激動の時代の中では、JCのあり方も即時性をもって対応していくことが重要です。加えて、利己主義や村社会及び家制度の崩壊から、地域や人、強いては家族との心のつながりが薄れつつある現代社会であるからこそ、春日井JCも今を生きる組織としての己のあり方をしっかりと見つめ直していかなければなりません。

そのためには、どんな道を歩むにしても、己を知ることが第一歩であります。自分とは何か、そして自分が所属する組織とはどういう団体なのか。自分の足下を知らなければ、その先に進んでいくことはできません。青年会議所は詰まるところ、公に向けて活動をさせていただくことで、自の意識を変革していく団体です。私は青年会議所の中で、私益ではなく公益のために行動することで、人に対する優しさ、己に対する厳しさ、そして自己成長の喜びを教わりました。そしてそれは自分の仕事、家庭、強いては人間関係において、生きる智慧へと育まれ、常に自らを鑑みることにもつながっています。浅学菲才の未熟者ですが、だからこそ、自反尽己(自らを反りみて己を尽くす)の精神をもって活動していくことが、春日井の地に存在する公益社団法人として、明るい豊かな社会が実現できると信じています。

信じる心は人を強くします。信頼される団体としての信、その団体に所属する会員として帰属意識を高める信、そして自分自身を最後まで信じ抜く信。人は苦しいときや辛いときに、自分の中に信じるものがあれば、必ずや自らの力で立ち上がり、力強く進んでいくことができます。国際連合のシンボルを掲げることのできる団体として、本年で53年目を迎える歴史と共に積み重ねられてきた信頼を得る団体として、そして諸行が無常に変化することに主体性をもって臨機応変に対応できる団体として、JCとその運動に誇りをもって活動して参りましょう。

 

「組織づくり」

~時流に沿ったしなやかな組織運営~

 ICTの発展からIoTやキャッシュレス社会の到来、そして新型コロナウイルスの発生に至るまで、私たちを取り巻く環境は急激に変化し続けています。想像を超えることが現実に起こり得る現代社会であるからこそ、どのような状況でも持続可能な組織を運営していくためには、春日井JCも時代の流れに柔軟に対応していかなければなりません。堅い氷は容れ物を選びますが、柔らかい水は自らが自在に変化することで相手を傷つけることなくその容器に収まります。時代に乗り遅れず、時流に抗わない組織であり続けるために、温かい水のようなしなやかな組織運営を行って参りましょう。

同時に、私たちは公益社団法人として7年目を迎え、春日井のまちやそこに住まう人々に対して運動を展開させていただく身である以上、常に謙虚な姿勢で相手に接していかねばなりません。自らの想いを伝えるには、まずは自身がそうならなければ品格ある青年経済人にはなれません。公に活動をしていく中で、まずは己に厳しく、言行一致たる人格者となれるよう共に精進して参りましょう。

~多様な人財から成る魅力あふれる組織~

 新陳代謝を失った組織は必ず衰退します。自然は移ろうからこそ永遠であり、その移ろいに人は魅力を感じます。そのため、私たちが力強い運動を展開し続けるには、新しい多様な個性を持った会員を迎えいれることが、魅力あふれる組織であるために必要不可欠であり、それが強いては春日井のまちやそこに住まう人々の明るい豊かな社会に通じます。ダイバーシティの推進によって、魅力あるまちや企業はさらなる進化と力強い発展を続けています。春日井JCにおいても、様々な知識や経験を持つ新しい会員の意見を取り入れることで組織を活性化させ、魅力ある団体へと進化することができます。私たちもその多様性に魅力を感じることで一丸となり、己と組織の成長のために、会員拡大に取り組んで参りましょう。

 また、魅力ある組織であり続けるには、魅力ある情報発信をしていかねばなりません。多様な人財が集まる公益団体であるからこそ、組織としてのブランディングは必要不可欠です。個の進化は組織の魅力となり、その魅力の向上は発信力の強さにつながります。様々なメディア媒体が共存する今だからこそ、各メディアの個性を見極め、適格な情報発信を行い、組織としての春日井JCブランドの向上を計らなければなりません。組織のブランド力が高まれば、それは相似て会員の拡大にもつながります。魅力ある個人が魅力溢れる団体に所属することで、帰属意識も高まり、自らの活動に誇りと自信を持つことができます。会員一人ひとりの成長と共に、ブランド力をもった力強い組織を構築していきましょう。

 さらに、日本青年会議所、東海地区協議会、そして愛知ブロック協議会では、より広い視野をもった力強い運動が展開されており、グローバルに活躍する多様な人財が集まっています。冷暖自知の如く、言葉や文章だけでは伝わらない学びを現場で実体験することが、会員の資質向上にも必ずつながります。出向者が出向先で活動すること、そしてLOMメンバーが出向先の事業に参加することで、地域で活動する中でも幅広い視野で物事を考えることのできる人財へと成長することができます。各々が各地で楽しく心強く活動することで、限りある時間を有効に自己成長につなげ、魅力あふれる組織の一員へと共に成長していきましょう。

 

 

「ひとづくり」

~人間力溢れる人財育成~

 人間を人間たらしめる所以は何なのでしょうか。AIやロボット工学の発展により、人間に台頭する様々な技術が開発され、労働人口の約半数がロボットに代替可能とも言われます。今や人間社会におけるコンピュータとの共存は避けられず、今後もさらに密につながることで人間の職種も移り変わり、ヒトの代わりに機械が働く未来が必ず訪れます。そんな時代だからこそ、人間とAI、ヒトと機械、そして心と計算機との差を認識し、人間の持つ能力(人間力)とその強みを活かしていくことが重要です。感謝の想い、報恩の行い、そして人の苦しみや痛みに寄り添える慈悲の心は、数式や計算機では実現できません。技術革新が進む今だからこそ、人間を人間たらしめる人間力ある心の育成が必須であり、その心を老若男女に実現していくことで、人間と機械との真の共生が実現すると確信します。

 さらに、日本には古来より受け継がれてきた和の精神が根付いており、その根底には「利他の心」があります。村社会にはじまり、寄り合いや祭りなど、人とひと、そして人と社会とが強固につながってきた背景には、人を想い他人のために行動する心が存在しました。情けは人の為ならずが如く、利他の実践は必ず自身の幸福へと返ってきます。そして、人は誰かのために行動するときに、普段以上の力が発揮されます。地域や家族とのつながりが希薄化している今だからこそ、先人が重んじた利他の精神を育むことが、日本人としての人間力を高め、有事の際にも活かされます。グローバル社会を生き抜き、日本人が世界のリーダーとして羽ばたくために、利他の心を携えた世界に誇れる日本人の姿を実現して参りましょう。

 

「まちづくり」

~誰もが平等に活躍できる持続可能な春日井の未来~

 核家族化が進み、家社会の崩壊とも言われる昨今において、格差社会の問題も顕著になっています。日本の子供の約7人に1人が貧困状態にあるとも言われ、日本の相対的貧困率は先進国の中でもかなり高い水準にあります。一見すると豊かに見える日本社会も、より細部まで掘り下げて見ていくと、様々な問題を抱えている現状があります。2015年に国際連合にて採択されたSDGsの推進を、(公社)日本青年会議所も率先して続けていますが、春日井JCにおいても、春日井に見合う形での持続可能なまちの未来を考えることが重要です。格差社会の是正を図ると共に、春日井市においても我々がSDGsの推進を積極的に取り組むことで、誰もが平等に活躍できる社会を実現して参りましょう。

 同時に、春日井市の人口は増加を続けてきましたが、数年後には減少に転じて2025年には30万人を下回る試算が出ています。若者たちがグローバルに羽ばたくことは頼もしいことですが、春日井の地を旅立った彼らも地元を想い続け、この地に帰ってきたくなるまちを実現することが、春日井の未来の発展につながります。そのため、春日井の地を愛し、そこに生まれ育ったことに誇りにもつ郷土愛を醸成していくことで、発展し続ける春日井のまちを実現することができます。帰るべき故郷があり、郷土に誇りを持った人間は、必ずやそのまちの未来を大切にしてくれます。地方創生を目指す今だからこそ、郷土愛をもった市民を一人でも多く増やすことで、持続可能な春日井の未来を作っていきましょう。

 

「むすびに」

人は困難に遭遇したときにこそ変化せざるを得なくなり、その変化をすることによって、目の前に立ちはだかる高い壁を乗り越えることができるようになります。変化を恐れ、それを受け入れられなくてはその先に進むことはできず、成長することはあり得ません。昨年に端を発した新型コロナウイルスとの共存社会は、まさに私たちを取り巻く環境にパラダイムシフトを与え、変じることで通じる道筋を教えてくれました。人間の真の喜び、幸福とは何なのか。それはまさに諸行無常を受け入れて、人間という一つの生物として進化をし続けることであります。そのため、艱難辛苦は必ずやその人を成長させ、その自己成長こそ人間の最大の喜びとなると確信します。

人が物品やお金で満足度を高めるには限界があり、同時に現代では、モノ・カネの消費から、コト消費(実体験)の時代へと移り変わり、心の豊かさを求める人が増え続けています。そのような今だからこそ、明るい豊かな社会の実現を目指し、心の成長を目指すJC運動は、必ずや人から必要とされる団体に成り得るのです。春日井JCの活動に自信と責任をもって、力強い運動を共に邁進して参りましょう。

己を見つめ、時流に沿って魅力を高め、人間力をもって持続可能な春日井の未来を推進することで、心豊かに生きられる明るい社会は必ず実現できる。自分の力を信じて、そして歴史と伝統のある春日井JCを信じて、一年間一所懸命に自己成長の道を共に歩んでいきましょう。