一般社団法人 春日井青年会議所 45周年未来ビジョン

第4次長期ビジョン「春日井C3プロジェクト~世代間共和都市の創造と発信~」
第6次中期ビジョン「チャレンジABC~挑戦者たちへ!~」

まえがき

(公社)春日井青年会議所は1969年に全国で408番目のLOMとして誕生しました。(公社)春日井青年会議所が誕生してから45年という月日が流れる中で、時代と環境は大きな変化を遂げてきました。 (公社)春日井青年会議所は45年という時間の中で、3つの長期ビジョンとそれを達成するための5つの中期ビジョンを掲げ、その都度、まちの持つ課題に取り組み、JC運動の裾野を広げてまいりましたが、 第3次長期ビジョンと第5次中期ビジョンが終わりを向かえる本年には、ビジョン策定時に考えられていた社会環境やLOMの状況とのかい離が目立つようになってきました。

それらをしっかりと踏まえ、春日井青年会議所がより一層の飛躍を目指すためには、現状から10年先を見据えて、JCIが掲げる「明るい豊かな社会の実現」をしっかりと反映させた運動方針や組織のあり方を今一度再考し、 春日井を大切に思う私たちが今取り組むことの出来る、新たなるゴールとしての道標を掲げる必要があります。

また、私たち自身が目指す10年後の目標に向かってLOMが一丸となって確実に進むためには「今どのように動くべきか」という方向性をわかりやすく、具体的に示した向う5年を見据えた中期ビジョンが必要不可欠です。

そこで、未来ビジョン策定委員会は、10年を見据えた第4次長期ビジョンと5年を見据えた第6次中期ビジョンをLOMメンバーが一丸となるためのビジョンとして策定していくとともに、確実に今後5年10年と継続して実行していく必要があります。

目標があるから目指すことができる。ビジョンとは目標です。ビジョンを策定し、その目標をLOMメンバー全員で共有します。その結果参加する活動の中で、JC運動の醍醐味や、背景や考え方が異なる人々と深く交わることで得られる新しい気づき、まちづくりに関わる中で培われる高い志。 こうした、三信条に象徴されるJCの持つ魅力や可能性をLOMメンバーに深く知って頂くことが、結果、さらに積極的なJC活動につながり、春日井青年会議所が一丸となって飛躍することができるとともに、私たちが目指す5年後、10年後のまちの理想像につながっていきます。


【目次】


第1章)未来ビジョンの位置付け

「45周年未来ビジョン」とは、2014年から2023年までの(公社)春日井青年会議所の長期ビジョンです。今後10年間LOMとしてビジョンに基づいて活動をしていくために「45周年未来ビジョン」とLOMとの関係性を「明るい豊かな社会の実現」という我々JAYCEEの理念とそこに向かうための行動指針を含めて関係性をイメージ図で示します。


第2章)時代の変化と背景、現状認識

2013年現在、今後10年を見据えた第4次長期ビジョンと、今後の5年間なにを目指していくかという第5次中期ビジョンを考える上で、現在の私たちを取り巻く時代と環境をどのように捉えるかということは非常に重要な問題です。

まずは、先の第3次長期ビジョン「ハートフルプラン」が策定された2003年からの10年間の社会の変化と、今後10年間の将来像について以下に示します。

2-1.春日井青年会議所を取り巻く社会の変化

ハートフルプランが策定された2003年、社会はバブル経済が崩壊した後の「失われた10年」と言われ、社会の構造改革の必要性が声高に訴えられていました。 しかしながら、多くの人の期待むなしく、日本経済はその後も回復することなく、回復の兆しを見せ始めた2008年には、100年に一度の大不況と評されるリーマンショックを受け、いつの間にか「失われた20年」と表現される時代となりました。

このような厳しい経済環境の中で、これからの時代を担う子供を育てる彼らの世代の価値観は「より合理的に」「より現実的に」となり、その親に育てられた次代の主人公である未来の青少年は、それが更に進んだ価値観を持つようになっていると考えても不思議ではありません。 これらの「合理性」と「現実性」を追求する先にあるのは、将来に対して明るい希望と、輝ける未来を夢見ることの出来ない「終わりの無い閉塞感」が漂う時代であり、そこに、わが国日本の豊かで明るい社会を描くことは難しくなってしまいます。

2013年の現在を省みると、そこには新しい時代の息吹を感じるような価値観少なく、むしろ、自らの起源はどこにあるのか、自分のアイデンティティをどこに求めるのか、いわば原点回帰する論調が強まっています。

かつての日本は、自らが生活するまちにアイデンティティを求める必要など無く、「良い学校に進み、良い会社に就職すれば、幸せな人生を送れる」というような社会全体での暗黙の前提があり、それを拠り所にして自らの人生を描くことが評価され、多くの人がそれを「当然の目標」として目指す、一億総中流化という時代でした。 しかし、先に既述したような経済の衰退と、行き過ぎた現実的思考は、結果として自らの拠り所を不安定化させることとなってしまいました。

そこで(公社)春日井青年会議所は45周年を迎えた今、このような現代社会が抱える問題に対して、時代の能動的な変革者として積極果敢に取り組むことを目指し、それを自らのアイデンティティとするために、ここに長期10年計画として、第4次長期ビジョン『春日井C3プロジェクト~世代間共和都市の創造と発信~』を掲げます。

2-2.一般社団法人としての新しい春日井青年会議所

2012年12月の定時総会において、私たちの社団法人春日井青年会議所は、一般社団法人春日井青年会議所として、その新しい歴史をスタートしました。最も重要な点は、社団法人格の変更を経ても定款にあるその本質性はなんら変わらないという事です。

(公社)春日井青年会議所の定款第3条「目的」には、『この法人は、経済、社会、文化等の向上を図り、地域社会の発展に寄与することを目的とする』とあります。

このように考えると、私たちの目的は法人格の変更に関係なく、常に春日井というまちのために奉仕していくことが求められています。公益社団法人ではないからと言って私たちが行うJC運動に大きな問題はありません。むしろ、公益社団法人ではなく一般社団法人だからこそ可能となった、そのチャンスに目を向けるべきではないでしょうか。

一般社団法人として新しくスタートした春日井青年会議所は、より一層の会員相互の理解を深める事業を行うことが可能であり、こうした意味で、今回の社団法人格の変更は、LOMが発展するための大きなチャンスではないでしょうか。

私たち(公社)春日井青年会議所は、市民生活の向上に資する事業を展開していくと同時に、仲間の絆を一層深めるための事業に取り組んでいくという対外事業と対内事業のバランスを今一度再考する岐路に立っていると考えます。

2-3.春日井JCの会員の意識の変化

1990年代までは「亭主元気で留守がいい」という言葉に代表されるように、経営者が自己の人脈を拡大し、自己研鑽に励み、そして春日井市のための活動に時間を割くことに対して「家庭」が障害となることはそれほど多くはありませんでした。

しかし、時代が進む中で「イクメン」という言葉が流行語大賞をとる時代となり、男性の子育てへの参加を家庭が求める時代となってきました。 そして、今後ますます強まっていく傾向は明らかであり、会員数の拡大を視野に入れた時に、組織として社会的に受け入れられる体制を整える必要は急務であり、私たちの組織の文化を受け入れさせるという観点では、永続的な会員数の純増は困難になりうると考えます。

現在の極めて厳しい経済環境は、先に述べたように多くの経営者によって構成されているJCという独自の組織性を考えると、会員の活力の基盤を左右する問題であると考えます。 つまり、自らの社業の発展のためにJC運動に携わっている訳ではないのに、社業の発展がなければJC運動そのものに十分に携わることができないという自己矛盾が常に発生してしまうということです。

JC運動の運動としての魅力は「社業のためにまちづくりをおこなっていない」という点にありますが、その魅力を追求するあまり、懇親会の場でさえ自らの仕事の話をすることまでもがタブー化され、現在では現役メンバー同士でさえ仲間がどのような仕事をしているか知らない会員も増えつつあります。

三信条の一つである「友情」とはどのようなものなのでしょうか。明日のわがまちの明るい未来を語り合い、仲間がどのような価値観を持って日々を過ごし、そしてどのような誇りを持って自らの社業に取り組んでいるのか、大切仲間だからこそ、一生涯の友だからこそ、仲間一人一人に対してもっと多くの関心を持つべきではないでしょうか。

2-4.「春日井」の魅力を春日井JCとしてどのように捉えるのか

春日井市の魅力というと、真っ先に挙げられるそれは「実生サボテン」「小野道風」などがあります。歴史や文化にしっかりと根付いたまちの魅力にフォーカスして各種サボテンプロジェクトや道風くんといった春日井の魅力を発信する事業が行政を中心に展開されています。 こうした事業とともに、春日井の魅力をさらに向上できる方法を考えた時、それはこれ以上有名なものを作ったり、探したりすることではないのではないでしょうか。

春日井市は70年前の1943年に誕生しました。その時から今日に至るまで、春日井市は中京工業地帯の中心である名古屋で働く人が住む、暮らしの場所として発展してきました。そしてその流れを決定づけたのが、1968年から始まった高蔵寺ニュータウン開発事業であります。 当時は多摩、千里と並ぶ日本の三大ニュータウンとして開発された高蔵寺ニュータウンは、春日井市の爆発的な人口増加を生じさせ、名実ともに春日井市は名古屋のベットタウンとしての足場を固めました。

だからこそ、未来の春日井市の魅力を考える時、全国的にモデルとなるべきベットタウンとしてその魅力を開花させることに大きな可能性を感じることができ、それが達成されることこそ、春日井に住む人々が真に自分のまちを誇りに想い、強い愛着を感じることにつながるのではないでしょうか。 そこに住む人を財産とする「人材から人財へ」とでもいうべきアプローチこそが、ベットタウンである春日井のあるべきまちづくりの姿と言ってもよいのではないでしょうか。

このような、住環境の充実と向上を目指すソフト面でのまちづくりを総合的に担いうる団体は、数多くのNPOが存在する春日井市といえども、私たち(公社)春日井青年会議所こそが最も適した団体だと考えます。 なぜなら、多くのNPOは一つの問題に特化して、それを継続的に取り扱うからこそ、その問題のスペシャリストとして存在することができます。言い換えるなら、それこそがNPOの存在意義そのものであります。 JCという団体の一つの特徴は、理事長をはじめすべての役職と事業が単年度を前提としている、事業の非連続性があります。元来、まちづくりという息の長い問題に取り組むためには、断続性を持つ組織は不適格と議論されることが多々あります。

しかし、青年会議所はその非連続性ゆえに他とのしがらみを持つことなく、常に時代が必要とする先駆的な価値観を純粋に市民に向けて発信することが可能なのです。非連続でありながらも、10年、5年という単位で作られたビジョンをベースとすることで、組織として進むべき方向性に大きなぶれを無くし、 非連続故に常に新しく、それでいて市民の生活の質の向上に貢献するという点において連続性のある市民運動を行うことができる唯一可能な組織が青年会議所と言っても良いのかもしれません。

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第3章)(公社)春日井青年会議所のビジョンの変遷

1985年(創立17周年)

第1次長期ビジョン策定
~まちづくりとJC運動の方向~

  • これからのまちづくり
    • 活力に満ちた人間性ゆたかなまちへ
  • JC運動の方向
    • まちづくりと青年会議所
    • 運動体としてのJC
    • メンバーの能力開発
    • 運動効果の検証

第1次中期ビジョン策定
~まちづくり運動をめざして~

  • 中期活動計画
    • 長期基本計画、中期活動計画の策定
    • 組織の見直し
    • まちづくりの研究
    • 行政及び商工会議所との対話
    • 市民に対するまちづくりの呼びかけ
    • 20周年事業の計画
    • 20周年事業
    • 長期基本計画及び中期活動計画の見直し

1988年(創立20周年)

第2次中期ビジョン策定
~ライブポリス構想~

  • 「まちづくり」における我まち春日井のビジョン達成に向け、LOM全体が一丸となって一層努力するものとする。
    ~「まちづくり運動」の方向性~
    春日井青年会議所が目指す「まちづくり運動」の方向を「ライブポリス」として位置づけるものとする。
    • 春日井JC内部に、まちづくりに関するセクションを置く。
    • ライブポリス構想推進を支えるネットワークの強化。
    • 各委員会継続事業の見直し及び次年度企画会議の充実。

第2次長期ビジョン策定
~優・遊・夢物語の実現~

  • JCの理想「明るい豊かな社会」とは、「心を活かした社会」であり、「まちづくり」は「心づくり」であると定義する。
  • 春日井青年会議所が目指すものは「優・遊・夢物語の実現」であり、それは次世代の子どもたちへの我々からのプレゼントである。
    • より多くの理解ある人を育み、ネットワークを構築すること。
    • 我々の理想とする意を同じくする人々をバックアップし、コーディネートすること。
    • 新たな可能性にチャレンジし、テストケースとなり人々に提案すること。

1998年(創立30周年)

第3次中期ビジョン
~市民まちづくりネットワークの実現~
~未来の子供達への春日井青年会議所としての取り組み~
~地球市民意識の啓発・実践~

第1次長期計画、第1次・第2次中期計画については総会の承認を受け実施されてきましたが、第2次長期計画・第3次中期計画は時代の変化をかんがみ敢えて総会の決議を受けないものとして策定されてきました。

その理念・方向性についてメンバーが理解し受け継がれて、現在に至ります。

2003年(創立35周年)

第3次長期ビジョン『ハートフルプラン』
~豊かな心と笑顔あふれるまちづくり~

第4次中期ビジョン
~新たな価値を創造できるひとづくり~
~JCの特徴を活かしたまちづくり~
~成果と絆を大切にする組織づくり~

2008年(創立40周年)

第5次中期ビジョン

輝く希望と誇りが持てるまちづくりの推進
世代を超えた市民が一体となるひとづくりの推進
豊かな発想力と情熱に満ちあふれる組織づくりの推進

このまちに"誇り""希望""愛着"をもった市民が集い
自由な発想から魅力あるまちを創造していく姿こそが
『明るい豊かな春日井』の実現である

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第4章)第3次長期・第5次中期ビジョン総括

第3次長期ビジョンでは、人が活き活きと輝き、まちが笑顔であふれるためのまちづくりを実践し、ハートフルなまちの実現のためハートフルな人を目指してきました。

それをもとに、第5次中期ビジョンでは、誇り・愛着・希望をキーワードに、輝く希望と誇りが持てるまちづくりの推進、世代を超えた市民が一体となる、ひとづくりの推進、豊かな発想力と情熱に、満ちあふれる組織づくりの推進を行ってきました。

『ハートフルプラン』は多くの示唆に富んだ素晴らしいプランでありました。その成果として、親学などの親御さんを対象にした事業の実施など大きな成果ができました。

しかしながら、いくつかの課題も明確になりました。長期間の継続が前提の長期ビジョンはLOMメンバーへの浸透が不可欠ですが、現在はメンバーが容易にビジョンを知ることができないという状況になってしまいました。 こうした課題が生じる理由を、単年度制というJCの独自性に原因を求めたり、できない理由を様々な表現で論じることで、あたかも「ビジョンの実現は難しい」と正当化することは簡単ですが、 しかし、そもそも(公社)日本青年会議所は、LOMと本質的な同じ組織の特徴を持ちながらも、明確なビジョンを持った活動の継続を実現しており、ビジョンの浸透方法やLOM内での理解の広げ方はいろいろな手法が考えられるはずであります。

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第5章)第4次長期ビジョン(2014年度~2023年度)

『春日井C3プロジェクト~世代間共和都市の創造と発信~』

第4次長期ビジョンでは世代を超えて人とひとが笑顔でつながる中で、それぞれが主役となり自らが直面する問題を、自分たちで解決するような積極的な市民であふれるまちづくりを究極の目標とします。

そのために(公社)春日井青年会議所は世代間の懸け橋となり、同世代だけでなく、子どもと大人、子どもとお年寄り、またお年寄りとお年寄りなど、世代や地域(地区)を超えた交流でたくさんの人とひとが想いを共有することでつながる取り組みを目指します。

この世代を超えたつながりを基軸として、つながった世代同士が、ただ繋がるだけではなく「心を合わせ仲よくする」という共和状態にまで昇華することで、様々な場所ですべての人が個々に持っている力を発揮し、率先して自らの手で自らが住むまちの豊かな発展に関れるまちを「世代間共和都市」と定義します。

第4次長期ビジョンでは、このビジョンを具体化するために現状の春日井市が置かれている環境と(公社)春日井青年会議所を取り巻く環境を踏まえて、【ひとづくり=character】【まちづくり=connect】【組織づくり=commit】という三つ"C"を柱としたビジョンを策定します。

5-1.【ひとづくり】 "Character(登場人物)"
~皆が主役になりうるひとづくりの推進~

「誰しも主役になれるんだ!」
ひとは誰もが長所と短所を持っています。それは見方を変えれば、長所が短所に、短所が長所にもなるかもしれません。しかし、自分自身の長所に気付いた時に人は自信を持つことができ、様々な課題に積極的にチャレンジできた結果、主役にもなれるのではないでしょうか。

この主役とは、ただ単にまちの中で目立つ人と言う意味ではありません。すべての人が自分の人生では主役であるように、すべての人は自分が暮らすまちの主役であって良いはずです。 同時にそれは、24時間365日、一人ひとりが主役であり続けることではなく、その時々に最も輝ける人が最も輝ける方法で輝くという意味においての「主役」であります。

では、すべての人が主役となるためには何が必要なのでしょうか。最初に必要なことは、関係する人が、いま何がまちに求められているかを的確に把握できることです。

次に、誰が主役にふさわしく、だれがその主役を引き立たせる役になるかという、冷静な役割分担とそれを受ける勇気、そして譲り合う心です。

そして最後に求められるのは、その役割を全うできる能力の育成です。

これを整理すると、この10年間に(公社)春日井青年会議所が取り組むべき課題は

  1. まちが抱える課題を(公社)春日井青年会議所と市民が一体となって考える場と、そこに対する深い理解が可能となる継続的な意識形成
  2. 自己の都合のみを優先するのではなく「公」の意識を育み、それを継続して拡大していく事業の構築
  3. 社会起業家にもなりうるような、まちの主役となれる人材育成とその為に必要な能力を身につけることのできる機会の創出

10年後の春日井のまちのひとたちは積極的に周りの人たちの良いところを伸ばし合い、短所を長所に変えることができるひとであってほしいと願っています。そして、それが困難なことと分かっていても勇敢にチャレンジできるひとたちであって欲しいと思います。

自分たちのまちは自分たちで作る。かつて、自らの人間としての尊厳を求め、自らの命を賭して絶対王政主義と闘った自由革命の戦士のように、私たちは社会の無関心と我欲の暴走に立ち向かえる一人でも多くの、春日井というまちの主人公を生みだしていこうではありませんか!

5-2.【まちづくり】 "Connect(つながり)"
~世代を超えた交流で人とひとが想いでつながるまちづくりの推進~

(公社)春日井青年会議所が懸け橋となり、世代を問わず様々な人たちがイベントやフォーラム、趣味や習い事など様々な活動を通して交流を深め、それぞれの個性を発揮しながら皆が笑顔でつながることのできるまちづくりの推進を行います。

少子高齢化がますます進展していく中、それぞれの世代では単独で解決できない問題は徐々に増えつつあります。身近な例としては、小学生の通学の安全を確保するために、地域の高齢者の方が見守り隊となって通学路に立つ姿など、世代間の交流は少しずつ社会の要請の中で生まれつつあります。

このような状況の中で、私たち(公社)春日井青年会議所がまちの在り方を「まちづくり」として考える時、こうした世代間の交流をより積極的に生み出していくことが必要です。

シニア層には青少年が持ち得ない、その人生の中で学び得た様々な叡智があります。また青少年には、シニア層が勇気をもらえるような、未来に対する純粋なまでの夢や希望があるはずです。壮年層には、社会的に大きな責任を持っているが故の冷静で責任ある堅実な判断能力があります。

こうした各世代の持つ特色を融合できるような、世代を超えたつながりの構築はまちの持つ課題を解決していくうえで1+1+1が3どころか10にも100にもなりうるような大きな力となります。

  1. 各世代のつながりにより、大きな力が生まれることを実感できるまちづくり。
  2. シニア層は、青少年や壮年層を「自らが歩んできた道」と受け入れ、壮年層はシニア層が「自らの行く末」と認め、
    青少年は先輩諸兄の築き上げてきた歴史と伝統を再解釈することで「自らの立ち位置」を知り、
    そしてこれからの行く末に想いを馳せるといった、各世代同士の相互理解のために濃密なコミュニケーションの形成。
  3. 各世代の対話を促進し、想いを共有することによる、つながりの共和への昇華。

このような、春日井という地域の中での交流を通して人びとが笑顔あふれる環境を創りだすことで、結果的に地域に対しての愛着が生まれ、地域に対しての誇りと、春日井というまちのアイデンティティを強く持てるようになった時、 それこそが「世代間共和都市」の萌芽であり、それを全国に発信できるようになった時に、地域のアイデンティティが確立された郷土愛が、より一層の春日井の発展につながるといえます。

春日井市は全国に誇る「高蔵寺ニュータウン」や新興住宅地が混在しており、その人口構成比や人口動態から日本の縮図とも言えます。そこに日本の縮図があるのであれば、私たちがまちの課題を世代間の有機的なつながりで克服することができれば、 それはこの国のかたちの一つを創ることにつながり、ひとづくりによるまちづくりが、くにづくりになると全国に堂々と自信を持って「春日井」を発信できると確信しています。

5-3.【組織づくり】"Commit(担いを果たす)"
~対外JCとの積極的な交流を通じた、JCの本文を理解した組織づくり~

近年「JCしかなかった時代からJCもある時代になった」とよく耳にします。ではJC運動とは何なのでしょうか。国内においても60年以上続いている青年会議所運動には、とても崇高な目的や時代に合った運動方針、そして継続事業など比較的長期の戦略が必要な活動の成功事例や様々な実施プロセスがあります。

しかしながら、そうした日本JCの持つ経験知をLOMは十分に活かし切れているでしょうか。今の(一社)春日井青年会議所を振り返ると、私たちのLOMはまだまだ日本JCや愛知ブロック、そして近隣の他LOMから学ぶべきものがあると感じます。

他方で、残念ながら近年の急速な愛知ブロック・東海地区・日本JCへの出向者は増加していますが、出向することで何が得られるのかという考えが優先されてしまい、そこで得た経験を多くのLOMの仲間に伝えるような与える喜びが薄れている感があります。

こうした状況は組織そのものの活力を著しく低下させるのみならずLOMそのものへの関心の薄れという状況にもつながりかねません。

本来、長い時間をかけて運動実績を蓄積してきた日本JCや愛知ブロックには、わたしたちLOMが日常的に直面する課題に対する解答がすでに提示されていたり、問題解決の糸口が示唆されたりしています。

もちろん、日本JCのすべてがそのままLOMに適用できることはなく、地域に根ざす青年会議所として、春日井から見た、地域からの目線は忘れてはいけません。しかし、それらをLOM内にも浸透させることによって、より一層のメンバーの満足度の増加と各々の事業の効果的な遂行が図れる可能性があります。

このような日本JCなどで考えられてきた経験知をLOMに落とし込み、活発な組織体とするためには、以下の視点が必要であり、その目線からの活動が求められていると考えます。

  1. 地域で必要とする事象と日本JCの魅力を融合した組織の在り方
  2. 日本JCや地区協議会、愛知ブロック協議会、尾張東5JCのつながりの中でしか得られない魅力の再発見
  3. JC三信条を基本としたJC運動の本分を理解することによる組織力の向上

こうした活動を通じた能動的な参加により、LOMメンバー一人ひとりがJC運動で得られるその醍醐味を感じ発信することこそが、組織としての足元を強固にすることになり、活力のある組織づくりにつながります。

「奉仕・修練・友情」というJC三信条は私たちが40歳までの有限な時間を投資するうえで極めて重要な指針であることは言を俟ちません。こうして掲げる10年間のビジョンの帰結がどのようなものであるかは誰にもわかりません。 しかし、それをしてやらない理由とするのであれば、その可能性に賭けて精一杯取り組んでいくことの方が、私たちは得られるものが多いのではないでしょうか。

なぜなら、ルールの無いゲームに面白さが無いように、厳しくそして仲間で助け合う時間の積み重ねが多い方が、いつまでも鮮やかに記憶に残るかけがえのない経験に成るのではないでしょうか。

これからの10年という時間の中で書きあげられる新しい(公社)春日井青年会議所のページが、LOMメンバーと市民の笑顔に満ちた記憶となるのか、それとも3650日という単なる記録で終わるのか。その決定権は私たちが持っています。 どちらが絶対的な善かという判断はここではしませんが、後世に対して恥ずることのない10年という時間を過ごしていく責任は私たちにあるのではないでしょうか。

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第6章)第6次中期ビジョン(2014年度~2018年度)

『チャレンジABC~挑戦者たちへ!~』

第6次中期ビジョンでは、第4次長期ビジョン『春日井C3プロジェクト!~世代間共和都市の創造と発信~』を目指す過程で、実際に今後5年の間の運動の方向性を、【ひとづくり=Action】【まちづくり=Base】【組織づくり=Content】という三つの柱(ABC)を軸として示したいと思います。

この第6次中期ビジョンの骨子は、様々な世代の人たちが共有した想いでつながり、そしてまちの主役になるために、現状に満足することなく、常に新しい問題に立ち向かう勇気と行動をLOMメンバーが示し続けていこうというものです。そこには、行政も地域住民も(公社)春日井青年会議所メンバーも区別はありません。 私たち(公社)春日井青年会議所が変化し続ける時代の中で残り続けていくためには、常に挑戦し続けることが重要ではないでしょうか。なぜなら、「変革の能動者」とは、挑戦し続ける者にのみ許される呼称だからです。 失敗を恐れず、叡智と勇気と情熱を友として果敢に取り組み続ける姿勢が、今の日本には必要とされているのではないでしょうか。

【ひとづくり】"Action(積極的な行動)"
~チャレンジ精神旺盛な行動力のあるひとづくりの推進~

"NEW JAYCEE"の言葉を引用すると、『人間は誰しもが各種の集団のメンバーであり、ある次元ではフォロワーであると同時に、異なる次元ではリーダーである。』とあります。 だからこそ、長期ビジョンで私たちは主役になれるひとづくりに向かうわけですが、物質的に満たされた現在の生活では、現状への満足故に未来に対して明確な目標や課題を持てない人も多いかもしれません。

しかし、無批判な現状維持は衰退への第一歩とされます。人類の発展と進歩の歴史は常に、変革と挑戦の歴史の裏返しでした。私たち(公社)春日井青年会議所が明るい豊かな社会を作り上げるうえで、このまちに住む誰もがチャレンジする状態をスタンダードにすることを目指す取り組みは必然ではないでしょうか。

一方で新しいことにチャレンジすることは、それほど簡単なことではありません。現状を打破するアクションは、人によっては奇異の目で見られ、ある時は平穏を乱すものと言われます。 また、勇猛果敢に挑戦した結果、望む結果を得られなかった人を敗者や失敗者と罵るものもいるかもしれません。つまり、チャレンジそのものがチャレンジになってしまう可能性があるのです。

このように考えた時、真にアクティブな市民を増やそうとするときに、アクティブな人を作ることだけが必要なのではなく、アクティブな人を受け入れて、理解し、そして応援することができる社会環境も合わせて必要になるのではないでしょうか。

また、こうした取り組みを行う以上、(公社)春日井青年会議所のメンバー一人ひとりが「挑戦者」という気概を持つことは必要不可欠です。

反発や反論を恐れ、安きに流れるような活動を選択してしまっていては、「挑戦」することの価値も、またその意義も伝えることができません。失敗を恐れず、勇敢に挑むことの大切さを説く為にも、自分自身がそうした殻を破り、突き進んでいく覚悟が強く求められます。

以上より、私たち(公社)春日井青年会議所は、長期ビジョンを達成するための、当初5カ年計画としての中期ビジョンでは、以下の視点に基づくひとづくりを行い、(公社)春日井青年会議所では今後5年間を通じて、各々が積極的なチャレンジをスタンダードにするためのサポートを行う事を提案いたします。

  1. 新しい価値観や新しい文化を創出するための事業の構築
  2. 自他の差を受け入れることのできる心を持った個人と社会の育成
  3. 「挑戦」することの価値と挑むことの楽しさの理解とその行動力の発信

【まちづくり】"Base(挑戦できる土台)"
~チャレンジの生まれるまちづくりの推進~

多くのチャレンジを生むためには何が必要でしょうか。チャレンジする人のほか、受け入れる人、サポートする人がいて初めてチャレンジすることは可能となります。

(公社)春日井青年会議所では、5年後という目標である中期ビジョンの中で、自らが毎年の事業に対して0ベースではなく、5年後の目標達成に向け、毎年ステップアップするためのプロセスを構築します。 そのためにもまず同じ想いを持ちながらもこれまで直接関わりのなかった団体や普段から青年会議所活動に対して深い理解を頂いている市民の方へ、(公社)春日井青年会議所の思いを伝播し、その上で我々が自ら懸け橋となります。そして共に活動する態勢を整えてボランティアスタッフとしてそうした新しい主体が積極的に活躍できる機会を提供することが求められます。このような積み重ねこそがチャレンジが生まれるまちづくりだと考えます。

特に、青年会議所活動は毎年様々な運動が展開されていきます。そして、私たちの活動に対する市民の方々の評価は高いものがあり、それゆえに一過性の事業で終えてしまうには非常にもったいないとも考えられます。そうであるならば、高い評価を得た、市民生活の質の向上に資するような事業は、積極的に青年会議所が他の団体やグループと協働することで、私たちは次の新しい事業に挑戦することができるシステムの構築は、LOMにとっても、まちにとっても、そして市民の方にとっても非常に有効であるはずです。つまり、(公社)春日井青年会議所が新しい事業に挑戦し、それを受けて、今までまちづくに関わったことのない方々がその事業を引き継いで頂くことで、その方たちにとっての挑戦となり、継続的に私たち青年会議所の想いを伝え続けていけるという壮大な挑戦が可能となるのです。

この結果、春日井のまちには春日井市民だけでなく、チャレンジ精神旺盛な人たちや、新しい何かを始めたい方々が、周りの地域からも春日井に集まることで世代を超えた地域の活性化につながります。

  1. 互いに交流が少ない部分に焦点をあて、新たな市民や団体の交流を生み出すまちづくり
  2. まちづくりに関わることの楽しさ、そこから得られる学びの大切さを発信することで、新たな関心が広がるネットワークの構築
  3. まちづくりを行う団体やグループの育成

【組織づくり】"Content(高い満足度)"
~LOMメンバーの満足度日本一を目指す~

45周年未来ビジョンの達成や各年度の基本方針の遂行に最も重要な要素はLOMメンバーの満足度です。

我々JAYCEEの理想である『明るい豊かな社会の実現』を目指すときに、メンバー自身が活動に満足していなければ、当然明るい豊かな社会の実現はありえません。今回の中期ビジョンでは、満足度の向上のために大切な要素としてLOMメンバー同士のつながりを一番に考えます。

そのために組織の在り方、開催する事業の数、メンバー同士の関わり方を再考し、JCのためのJC活動ではなく、メンバー同士のつながりをどのように濃くし、そしてそこで築かれる一つ一つの絆を太くし、仲間同士の信頼関係を強固にできるような事業の開催が強く求められます。 その結果、(公社)春日井青年会議所は高い出席率に象徴されるような青年会議所活動の満足度が日本一となれるようなLOMになれることは、(公社)春日井青年会議所に携わる誰しもが幸福になれる目標ではないでしょうか。

  1. LOMメンバー同士が、互いに互いを深く知ることにより、組織の付加価値を高める
  2. 課題をLOMメンバー全員が考える意識の向上
  3. JAYCEEとしての誇りを継ぐためのブランディングやそれを自らの言葉で語る強さ

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第7章)未来ビジョン行動指針

未来ビジョン行動指針では、今後5年間で、中期ビジョンを必ず達成するため、日々のJC活動の場で意識して頂く、またJC以外の時でもJAYCEEとして持ち続けて頂きたい、行動指針を具体的に示します。

第6次中期ビジョン行動指針に関しても以下のように【まちづくり】【ひとづくり】【組織づくり】という三つの柱を基本とした具体的な行動指針を明確にし、実施します。

【ひとづくり】

・我々は挑戦者として、失敗を恐れず、常に新しいことへ挑み続けることの価値を知り、それを伝え続けます。

【まちづくり】

・我々はまちに関わる全ての人たちが、チャレンジ精神にあふれるまちを目指します。

【組織づくり】

・我々はJAYCEEとしての誇りを胸に刻み、メンバー同士の深い友情を通じて、毎年の使命を全うすることで満足度の向上を目指します。

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第8章)あとがき

第4次長期ビジョン策定にあたり、過去45年間の(公社)春日井青年会議所の変遷と現在の春日井のまちを取り巻く環境、そして今後予想される春日井のまちの変化を調査・研究してきました。

過去を振り返る中で、春日井青年会議所の歴史から人とひととのつながりの大切さや、LOM全体としての大きな成長を強く感じることができました。本年度45周年においては、過去からそれらをしっかりと学び、次のステージである未来につなげていく必要があります。

今後10年間の長期ビジョンでは(公社)春日井青年会議所として、なぜ私たちはJC活動をしていく必要があり、そしてその中から何を得られるのか。今LOMメンバーの多くが抱えている「JCと個人」との悩みに対して、一定の方向性を示すことを目指しました。それは、単一の解を提示することではなく、また同時に無秩序な解釈を容認するためでもなく、多様な解を導くための補助線であります。LOMメンバー個々がたどり着いた、その目的意識は、表面上の違いこそあれ、本質的には共通したものがあるはずです。

意識が変われば行動が変わる。行動が変われば結果が変わると言われます。本年策定するこの長期ビジョンとそれを支える中期ビジョンが、現在および将来の春日井JCメンバーの寄るべき葦となることを心より祈念いたします。

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